カレンダー ガール
何が悪いんだよ、意味わかんねぇ。
わたしの前で頭を抱えているこの男はまた振られたらしい。
なんで私は毎回毎回この男の別れ話と愚痴を聞かされなきゃいけないのだろうか。
いい加減聞き飽きましたよ、お兄さん。
何なんだよ、アイツが好きだって言ってきたくせに。
そんなこといいながらも単純なこの目の前にいる男が、彼女にハマりまくっていたのも私は知っている。好きだって言われたらその気になってしまう、お目出度い男なのだ。
大体カレンダーになりたいって何だよ、物じゃねぇかよ。
その話何度目でしょうか?
彼女が、カレンダーになりたい。毎日見てもらえるから、羨ましい。って言った話でしょ?
その発想に私はいたく感心したし共感したんだよな、なんてこんな馬鹿に話しても通じないよなぁ…なんてレモネードを飲みながら幹線道路を眺める。
大体、いつもいつも私のところへやって来てはこんな話をしていくけれど、果たしてこの人は私の気持ちなんて考えたことあるんだろうか?
目の前で好きな人に他の女の子の話をされる私の気持ちを…!
そもそも私がこの人のことを好きだなんて知る由も無いだろうけど。
お前さ、さっきから黙ってっけど聞いてんの?
聞いてるよ、うん。
……とりあえずさぁ、あの子ににげられちゃったならヒマでしょ?しばらくあの子とカレンダーの代わりに私のこと見ててみない?そうそう簡単には飛んで行ったりしないけど?
…なんてね!冗談。
ほら、馬鹿だからわかってない、ポカーンってしてる。きっとこの人には一生理解できないんだろうな、こんな気持ちは。そして当分私の想いも伝わらないな。
…結構勇気出していってみたんだけどなぁ。まぁ、いっか。
ゆっくりゆっくり、伝えていけば。ね。