Rosso

音楽聴いて想像して書く暇つぶし。 あくまであたしのイメージのお話。

ワールド イズ ユアーズ


彼はずるい。
さっきの話は彼の理想だけのお話。
そんなもの受け入れられるわけない。

あたしは弱い。
いつだって昨日を追い続けてる。
新しくやってくる今日を受け入れるのが怖いのだ。

話は平行線をたどったまま。
怖がることはない?そんなの嘘だ。
変わっていくことがあたしは怖い。
すべてが怖い。変わらないものなんて世の中にないのだから。

じゃぁ。
あなたの言うその言葉も変わることはないの?
理想の中に時々紛れ込む愛の言葉
そもそもその理想も。
逃げの手段をうまく盛り込んであることくらい気づいている。
彼はずるいのだ。

どうして?
お前はなんでそんな考えしかできないの?
いつだって彼女は後ろ向きだ。
俺の言葉も未来も信用しない。
愛の言葉だってどんだけ吐いても返ってくることはない
もちろん想ってることはわかるんだ。
ただそれを口にすることを嫌がる。
そもそも考えてることを口にしないのだ。
それじゃあわからない。

話は平行線をたどったままだ。
お前の世界はお前のもので
未来はお前の思い描く色にちゃんと変わるから
その時に隣にいたいんだ。
そんな簡単なことがなかなか伝わらない。

もどかしさに涙が出た。
情けない、男のくせに。
大事な人に大事なことを伝えられない。
術を尽くしてもわからない。
どうしたらいいんだ。
気づかれないように上を向いた。

彼の涙をはじめて見た。
その時あたしは自分を恥じた。
怖いから、ただそれだけであたしはこの人を傷つけてる。
この人は恐れることなくあたしにぶつけてくれているのに。

ごめんね、ありがとう、すきだよ。
思いつく言葉を繋げてみた。
彼は目を丸くしてあたしを見た。
そりゃあそうだ、そんな言葉をいきなりかけたのだから。

信じてみようかな。この人とあたしの世界を。
傷ついてもぶつかってくれる彼を見て
そんなことを思ったんだ。
世界はあたしのもの。
世界はあなたのもの。