Rosso

音楽聴いて想像して書く暇つぶし。 あくまであたしのイメージのお話。

マシマロ


漫画を買った。好きな作家の短編集。
そこに出てくるのは完璧なダメ男。
ヒゲは伸びっぱだし、時間にはルーズだし
おまけに服の前後ろ逆だったりするし。
なんてったっていつもヘラヘラ笑ってる。
怒られてもなんでも、とにかくヘラヘラ笑ってる。

でもその漫画がいたく気に入って買ってしまった。
なんでかな?彼にそっくりだった。
本当にダメダメなあたしの彼にソックリなんだ。
あたしが怒っててもいつもニヘラニヘラしてて
文句言っても「わかった、わかった。」
無茶苦茶なワガママ言ってみてもいつも笑って受け入れてくれてしまう。
そんなトコロが大好きだけど大キライなのだ。
いつもいつも笑ってて、お前には自分ってもんがないのか!!って。

さっきだってそう。
あたしが無茶苦茶言ったのに
笑ってる彼に腹が立って、家を飛び出した。
勢いよく飛び出したのはいいのだけれど
行くあてもないから近所の
本を売るなら…♪の中古書店で立ち読みすることにした。
そしたらそんな漫画に出会ったのだ。
本当に出てくる男が彼にソックリすぎて、
たった2ページの話なのに、
そのまま彼な気がして、ハッとしたんだ。
ワガママで、気の短くて、気まぐれなあたしを
受け入れてくれるのなんて彼くらいしかいないのに、
そんなトコロが嫌!なんて家を飛び出したあたしは
なんてバカなんだろう?
本当にダメダメなのはあたしじゃないか。
いつもあたしを受け入れてくれる彼を、
理解してくれる彼を
わかってないあたしが一番ダメダメじゃないか。
そんなことに気づいたら、なんだか涙が出てきた。
急いで帰らなくっちゃ。
帰って伝えよう、いつもありがとうって。
そんな気持ちになったのだ。

さぁ、彼の好きなマシマロを買って帰ろう。
どーしたの?お前マシマロすきじゃないじゃん?なんて言うだろーけど、
まぁいいじゃんで済ましてやろう。彼みたいに笑いながら。
飛び出したこと怒ってるかな?
いや、でもいつもみたいにヘラヘラ笑いながら
「おかえり」なんて言うんだろうな。